4種類のプーラー【特徴と用途】
プーラーとは、回転する機械の軸から部品を取り外すために使用される工具です。
プーラーの最も一般的な用途は、回転軸からボールベアリングやテーパーベアリングを取り外すことです。
一般的に、プーラーはネジを回すためのハンドルがあり、それを手で駆動させて使いますが、油圧式パワーピストンを使用して駆動させるタイプもあります。
ここでは、そのプーラーについて解説していきます。
プーラーの種類
ここからは、4種類のプーラーについて解説していきます。
ギヤプーラー
ギヤプーラーとは、軸からギヤを引き抜くために設計された工具のことです。
ギヤプーラーには、さまざまなタイプがあり、いずれも特定の目的を達成するために設計されています。
ギヤプーラーの中には、ギヤを把持するための爪を使用したものや、ギヤに直接取り付けるボルトを使用したものがあります。
小型の歯車や狭い場所にある歯車でよく使われるのは、2本爪のプーラーです。
歯車の取り付け軸にネジ棒をつけて締め付けると、2本の腕と爪に圧力がかかり、軸から歯車が引き抜かれます。
強固に取りついた歯車の場合、プーラーを締めてから数分間放置して圧力をかけなければならないこともあります。
ギヤプーラーを徐々に締めつけることで、ギヤを取り外すことができます。
ギヤプーラーには、2本爪の他に3本爪があります。
3本爪のプーラーは、爪が増えることで力をより均等に分散させることができる特徴がありますが、スペースに制限がある場所では使いにくいという欠点があります。
こちらは2本爪のギヤプーラーです。
こちらは3本爪のギヤプーラーです。
ベアリングプーラー
ベアリングセットやギアを引き抜く(取り外す)ためのプーラーで、最も一般的なタイプの一つです。アームの先端に指があり、これが曲がってベアリングの裏側に入り込みます。プーラーの中央のネジにトルクをかけると、シャフトの上部を押し、ベアリングに上向きのスラストが加わります。アームとフィンガーはリバーシブルなので、同じプーラーでもベアリングやシャフトのサイズ、長さに幅広く対応できます。
スタッドプーラー
スタッドプーラーとは、スタッドボルトを引き抜くための専用工具。プーラ内にあるローラーが、3方向からスタッドボルトをしっかりと掴んで引っ張り出すタイプが一般的です。ネジ山を傷つにくく、確実かつスムーズにスタッドボルトを引き抜くことができます。産業分野における機械や、車やバイクなどのエンジン回りの整備に便利。スタッドボルトの直径サイズに合ったプーラーを選択する必要がありますが、複数の異なるサイズのプーラーがセットになった商品もあります。
油圧プーラー
機械的なフォーススクリューの代わりに、グリースを充填したシンプルなラムを採用し、簡単に力を出すことができます。プランジャーにバネを使用することで、ねじれのないダイレクトな推力を実現し、より効果的で確実な作業を可能にしました。
Loadstar 8, 12 & 20 TonneとLoadstar ‘Plus’ 20, 30 & 50 Tonneの様々なスタイルが利用できます。 重作業用の引張り・引抜き用。
プーラーを選定する際の6つのポイント
プーラーを選定する際には、引き抜きたいギヤ、ベアリング等のサイズに合うプーラーを選択しましょう。
不適切なプーラーを無理に使用すると、取り外しができないだけでなく、プーラーやパーツの損傷・故障につながりますし、安全上の問題を生じる可能性もあります。
プーラーを選定する際に考えるべきポイントは、以下6つです。
- プーラーが開いたときの最大幅(引っ張る部品の幅によって決まります。)
- プーラーの引き抜き量(少なくとも取り除く部品の深さと同じか、それ以上が必要になります。)
- 爪の本数(2本爪か3本爪か、3本爪は安定性が高く、2本爪はスペースに制限があるところで使いやすいのが特徴です。可能であれば安定性・安全性の高い3本爪を選ぶことを推奨します。)
- 安全に引き抜きできる荷重(錆びた部品や接触面積の大きい部品は、より大きな荷重を必要とします。油圧プーラーを使えば、最小限の力で最大限の力をかけることができます。)
- 相手物(ベアリング等)の内径
- 相手物(ベアリング等)の外径
プーラーの使い方
一般的なプーラーの使い方は、以下のとおりです。(ギヤプーラーの場合です)
- シャフトに対してギヤプーラーのアダプターをあてます。
- ギヤプーラーのネジを最大まで緩めます。
- ギヤプーラーの爪がベアリングの下側に引っかかているかを確認します。
- ギヤプーラーの爪をベアリングの中央付近につけて安定できるようにします。このときに安定できないと、取り外しのときにズレが生じて取り外せなくなることもあります。
- ネジを回転させて少しずつ外していきます。ネジはスパナやレンチ等を使って回すことをおすすめします。プーラーが前後左右にブレると引き抜けなくなるので、まっすぐに引き抜けるように注意する必要があります。
- 締結が強固でうまく引き抜けない場合は、潤滑剤を使用するのがよいでしょう。
まとめ
プーラーの種類と用途に関して解説しました。
こちらで紹介したプーラーの種類と用途が選定の参考になれば幸いです。