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圧力の種類【絶対圧・ゲージ圧・差圧の違い】

圧力の種類 絶対圧・ゲージ圧・差圧 の違い

圧力計が示す圧力には、大きく3つの圧力があります。

「絶対圧」「ゲージ圧」「差圧」の3つです。

ここでは、それぞれの違いを解説していきます。

圧力とは

圧力は、単位面積あたりに垂直に加えられる力の量として表現されます。

圧力は、次の式で計算されます。

P = F / A

P:圧力
F:作用する力
A:力が作用する面

圧力の見方の1つとして、物体の表面上に積み重なったすべての分子の重さとして見る方法があります。

この考え方は、固体や液体の圧力を考えるのに適しています。

全ての分子は、重力に引っ張られているために重さがあり、重さは下向きの力になるので、どの分子も表面に小さな力を及ぼします。

この小さな力の積み重ねが、圧力を生み出しているという考え方です。

しかし、この考え方を気体に適用すると、気体分子は自由に浮遊しているために、積み重なっていないという反論があります。

では、気体分子の場合、どうやって表面に力を及ぼしていると考えることができるのか?

気体の分子は常に動いていますが、分子には運動量と運動エネルギーがあります。

気体同士は頻繁に衝突し、物体の表面にもぶつかります。

物体の表面と衝突するたびに、分子はその表面に運動量を伝えます。

このとき、表面に対して垂直な方向の力が発生するので、この総和を圧力として定義することができます。

圧力の種類

ここからは、3つの圧力「絶対圧」「ゲージ圧」「差圧」について解説していきます。

この3つの圧力の違いは、目盛りのゼロ点として選ばれる基準点の違いです。

絶対圧は完全真空(圧力ゼロ)を基準点としていて、ゲージ圧は大気圧を基準点としています。

差圧は、2つの異なる圧力を比較するもので、決まった基準点はありません。

それぞれの違いは、以下のように表現できます。

絶対圧力・ゲージ圧力・差圧の違い

絶対圧と差圧は、常に正の値で表現されますが、ゲージ圧は負の値で表現されることもあります。

圧力計は、これら3種類の圧力を測定するためにそれぞれ設計されているので、計測したい圧力に応じて圧力計を選択する必要があります。

絶対圧

絶対圧は、基準となる点は完全真空(圧力ゼロ)、つまり圧力が全くない状態です。

完全真空とは、閉じた容器内からすべての粒子が取り除かれた状態を意味します。

この状態は完全に空っぽの状態なので、圧力が存在し得ません。

完全な真空以下では、圧力が存在しないので、絶対圧は常に正の値となり負の値にはなりません。

ゲージ圧

ゲージ圧は、測定した圧力を完全な真空と比較するのではなく、海面における標準的な大気圧と比較した圧力です。

海面気圧は1013.25mbar(0,101325MPa)と定義されています。

つまり、同じ場所で同時に測定された絶対圧とゲージ圧の差は、常に1013.25mbar(0,101325MPa)となります。

ゲージ圧は相対圧とも呼ばれ、正の値も負の値も取ることができます。

正の値の場合は、正圧と呼ばれ、負の値の場合は、負圧と呼ばれます。

ゲージ圧Poは、測定された絶対圧Pabsと、標準大気圧Patmから以下のように計算されます。

Po = Pabs ー Patm

測定されたゲージ圧が負圧になっている場合、測定された圧力Puは標準大気圧Patmより低く、大気圧から絶対圧Pabsを引いて求めます。

Pu = Patm – Pabs

一般的によく使われている圧力計は、このゲージ圧を表示しています。

差圧

差圧は、異なる2点間の圧力差を測定するした値です。

2点間の圧力差を測定するという意味では、絶対圧やゲージ圧も広義の差圧として考えることができますが、一般的には完全真空や大気圧以外を基準点とした場合に差圧と呼びます。

差圧は、あくまで2点間の圧力差を表現しているだけなので、2点間の圧力がそれぞれどの程度であるかという情報までは得られません。

例えば、A点とB点の間に0.01Mpaの差圧があっても、A点とB点の圧力量については何もわかりませんし、どの点が最も高い圧力であるかについてもわかりません。

差圧は、2点間の圧力差が特に重要となるケース、例えば異なる容器内の圧力差や、流路の圧力差が重要となる場合に用いられます。

差圧の中でも、極小な圧力を計測するために用いる装置を微差圧計と呼びます。

その他の圧力

3つの圧力はすべて、2つの基準点の圧力を比較したものです。

しかし、圧力には、特定の名称が与えられているものもあります。

例えば、以下のような圧力です。

  • 真空圧
  • 大気圧
  • 静水圧
  • 動圧

これらは、全て絶対圧、ゲージ圧、差圧の3種類のいずれかで表現できますが、あえて特定の名称をつけて、区分されることがあります。

真空圧

真空とは、厳密には絶対圧がゼロになる空間のことです。

これは、その空間からすべての粒子を取り除いた場合にのみ達成されます。

完全な真空は、理論的にしか実現できない状態で、閉じた容器の中のすべての粒子を取り除くことは技術的には不可能です。

しかし、完全真空でなくても、大気圧よりも一定程度低い圧力のことを真空と呼ぶことがあります。

例えば、布団圧縮機は「中を真空にすることで布団を圧縮できます」などと言われますが、完全真空になっているわけではありません。

大気圧

大気圧は、大気中の分子の重さによって生じるもので、単に気圧と呼ぶこともあります。

大気中の分子が集積することで発生するので、大気の底で最も高い圧力が発生します。

言い換えると、海抜からの高度が高いほど気圧は低く、海抜に近い、または海抜以下になると気圧が高くなります。

また、気圧は一定ではなく、変動する値でもあります。

例えば、太陽の影響で空気は熱くなり、夜になるとまた冷えたりします。

湿度は天候によって変化します。

高気圧や低気圧によって空気の密度は頻繁に変化します。

これらの影響により、大気圧が常に同じになることはありません。

ゲージ圧の測定では、測定する圧力と大気圧を比較するため、基準となる大気圧が変化する前提だと問題が発生してしまいます。

そこで、ゲージ圧を明確に測定するために、標準大気圧を設定しています。

SI単位系では、標準大気圧を以下のように定義しています。

SI単位系

Patm = 1013,25 mbar (0.101325MPa)
t = 15℃
ρ = 1,226 kg/m³
r = 287,1 J/(kg K)

Patm:絶対圧、t:温度、ρ:密度、r:ガス定数

静水圧

静水圧は、主に流体で使われる言葉です。流体中のある深さにおいて、その上にある液体(液柱)の重さによって生じる圧力のことである。

静水圧は、液体の密度、重力定数、液柱の高さに依存します。

静水圧Phはゲージ圧をベースにして、次の式で計算できます。

Ph = ρgh (相対圧)

ρ:密度、g:重力加速度、h:液柱の高さ

液面上の大気圧も考慮すると、全圧(絶対圧)Ptを求められます。

Pt (絶対圧) = Patm + ρgh

この式では大気圧が考慮されているため、完全真空を基準としており、全圧は絶対圧となる。

動圧

動圧とは、ベルヌーイの方程式の項の一つである。

非圧縮性流体の場合、ベルヌーイ方程式は、流線に沿った定常流では、圧力エネルギー、運動エネルギー、位置エネルギーの和が一定であることを表します。

動圧とは、この方程式のうち運動エネルギーを表す部分である。

例えばパイプの中を流れるとき、流体の分子の運動エネルギーによって生じる圧力のことです。

動圧は次の式で表すことができる。

q = (1/2) * ρv2

q:動圧
ρ:流体の質量密度
v:流体の速さ

一般的に、液体における動圧は、静水圧よりも大きくなります。

圧力の単位

世界では、圧力はさまざまな単位で表されています。

欧州連合(EU)では、法的な基準としてSI単位系を使用しています。

製品の物理量はすべて欧州指令80/181/EEC(EUメートル法指令)に沿って表現する必要があります。

この方式だと、圧力はPa(パスカル)またはbar(バール)で表現され、1bar=105Paとなります。

mH2O(メートル水柱)やmmHg(水銀柱)などの古い単位は、1977年12月31日以降、欧州連合では使用してはならないことになっています。

一方で、アメリカではpsiが主な圧力単位となっている。

ほとんどの圧力計は、圧力を平方インチあたりのポンド数で表示しています。

アジアでは、特にMPa(メガパスカル)とkg/cm²(キログラム・パー・スクエアセンチメートル)の単位が使用されています。

以下の表は、圧力単位をkPa、barに換算する際の係数です。

UnitskPabar
1 kPa10,01
1 MPa100010
1 bar1001
1 mbar0,10,001
1 atm101,325001,01325
1 mH2O9,806650,0980665
1 mmHg0,1333223680,00133322368
1 psi6,894757290,0689475729
1 inH2O0,2490820,00249082
1 kg/cm²98,06650,980665

まとめ

圧力の種類、絶対圧、ゲージ圧、差圧のまとめでした。

この記事が、圧力の理解を深めるのに役立つようなら幸いです。